職場健診での低コレステロール値について


Q. 血中の総コレステロール値について質問です。職場健診で毎年基準より低い値になります。今までは「高いよりはいいだろう」と特に気にしていませんでしたが、最近朝日新聞の「コレステロールが低いと感染しやすかったり、がんにもなりやすい」という記事を読み
日常生活で気を付けられることなどあれば教えていただきたいと思います。
今年の検査結果は総コレステロール値が136(この3〜4年130代です)HDLコレステロールが64、中性脂肪が48です。BMIは17.2と少々やせています。ちなみに食事の好き嫌いは全くなく、肉魚野菜のバランスには気をつけているつもりです。

(30歳、女性)


A. 職場検診で測定されている総コレステロール値ですね

   職場検診で測定されている総コレステロール値ですね。一般に高コレステロール血症が問題となる事が多いですが、これは虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の主たる危険因子となっているからです。あなたの場合は総コレステロール値136mg/dlと正常の下限とされる150以下ですね。女性の場合は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が活発な時期は一般にコレステロールは低値が多いようで150mg/dl以下のことも決して珍しい事ではありません。善玉のコレステロールとされるHDLコレステロールも64mg/dlで正常値ですし、中性脂肪も問題ありません。痩せぎみのようですし、体質も関係しますが現在の血液の脂肪組成は問題ありません。確かに食事の部分もありますがせいぜい全体の2割程度です。意識して動物性脂肪を過剰に摂取する必要はなく今の食習慣でよいでしょう。

朝日新聞に連載された浜先生の記事は私も読みました。氏は「薬害」を視点とした論調ですがやや偏りがあることは否めません。疫学的なデータでは脳卒中や心臓病などの動脈硬化を基礎とする死因は総コレステロール値が低いほど低率となり、逆にがんの死因はコレステロールが高いほど低率です。しかし低コレステロール値のかたがどれだけがんになり易いのかといった発がんの詳しいデータ(証拠)はまだありません。

女性の場合、特に閉経後はコレステロールが高くなります。その場合薬物を用いて積極的にコレステロール値を下げた方がよいかは、結局その方がどのような危険因子を持っているかによります。つまりその人の年齢、血圧は高くないか、虚血性心疾患の合併はないかなどを総合的にみて判断します。またまれには甲状腺の病気や家族性高コレステロール血症など他の病気による場合だってあります。

年毎の検査結果は今後色々な病気や体の状態をチェックする上で大変貴重な資料となります。是非大切に保管し、何か体調の変化があった場合にはかかりつけ医に相談してください。

(2001/08/24 中村内科胃腸科  中村 秀幸)